省エネ 実践例(2)
(株)安田屋「やすだ朝霞店」 「LED照明と換気自動制御システム導入で省エネ推進」
首都圏などで店舗展開をはかる(株)安田屋(東京都板橋区大山町26-8)は2010年8月4日、新規開店した「やすだ朝霞店」(埼玉県朝霞市本町1-11-10)で、省エネを推進するためLED照明を本格導入したほか、換気自動制御システムを採用し、電気代の削減を進めています。同店の取り組みを紹介します。
1.LED照明を本格導入 従来照明に比べ約20%省エネ メンテナンスも省力化 |
LED(発光ダイオード)照明は、従来の照明器具に比べて長寿命、低電力消費の特徴がある一方で、
未だ生産・販売数が少なく高価格とされているが、
国内の様々な商業施設等でも徐々に導入が進みつつあります。
パチンコ店でも、LED照明は、イニシャルコスト面などから未だ導入事例が数少ないが、「やすだ朝霞店」(800台)では、
バックヤードや駐車場などを除いた屋内照明の殆どにLEDを本格採用しました。これほどのLED導入は、全国ホールでも珍しい。
同店のLED照明は、T社製のLEDダウンライト6000シリーズをメインに採用。光色はナチュラルホワイトで、昼白色の自然な色を再現しています。
(株)安田屋・施設管理担当の吉田豊氏は、今回のLED導入について、省エネ効果もさることながら、メンテナンスの省力化も評価。同店の天井高は4.7メートルと、
通常の既存店よりやや高いが、従来の定期的なランプ交換や清掃などのコスト負担を考慮し、長寿命のLEDでメンテナンス負担が軽減されることを重視したと強調しています。
また、同店の当初の建築計画では、当時のLEDに難点があったため、従来のCDM(セラミックスメタルハライドランプ)の導入を予定していたが、今回の製品が発表されて、導入を決断。
今回のLED導入によって、従来の70W形コンパクト形メタルハライドランプ器具相当の消費電力84Wに対して、
それとほぼ同じ明るさでありながら消費電力65Wで、年間消費電力を約20%削減できるとしています。
このほかLEDは、長寿命で約4万時間は持つとされており、従来の70W形コンパクト形メタルハライドランプに比べて約2.5倍(メーカー発表)の寿命としています。
(※LEDは従来の光源のようにフィラメントの断線で不点灯になることは殆どない。
使用材料の劣化などにより、点灯時間の経過に伴い徐々に光量が減少していく特徴をもつ。
LEDの寿命は、規格で全光束が初期全光束の70%に低下するまでの時間と定義している。)
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2.「換気自動制御システム」を採用 外気の効果的活用で電気代削減 |
同店では、「換気自動制御システム」(販売J社)も初導入しました。
同システムでは、①タバコの煙センサー、②室内・外気温度センサー、③湿度センサーなどにより、最適な換気風量を自動制御しています。
これによってデマンド値を低減させて電気代を削減し、さらに、屋外の冷たい空気を活用する外気冷房制御で空調の稼働を減らして省エネを推進しています。
また、外気を積極的に取り入れることで、店内のタバコ臭も除去しています。
一般的にパチンコ店は、遊技台等からの内部発熱で冬期間でも冷房を必要としている店舗が多い。
この時期に冷たい屋外の空気を取り入れて風量を増大し、自動的に外気冷房にすることで省エネを図ります。例えば、開店時に空調切替が暖房であっても、屋外温度が上昇する昼間は、自動的に外気冷房運転となり、省エネが図られます。逆に、夏期の猛暑日は、換気風量を通常より抑えて運転することで、冷房負荷を低下させ、デマンド値を低減させるとしています。
このように省エネと同時に、空気清浄機で取りきれないタバコの臭気も、換気量の増大、自動制御によって除去しようというものです。 いわば、
①タバコの煙、
②温度、
③湿度、
④外気量の4つのバランスを自動制御することで、タバコ臭を除去するとともに、
適温を保ちながら快適な遊技環境を提供しています。同店では、この4要素のうち湿度を最優先して設定しており、優先順位の設定は、店舗ニーズに応じて設定可能といいます。
このほか同システムでは、閉店後にタバコ臭が残っている場合の「アフター換気機能」「24時間換気運転」などの設定も可能となっています。
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3. 省エネに対する認識を
全社的に共有へ |
このほか配電盤では、島通路、景品カウンターなどのエリア別一覧表を作成し、開店前、閉店後などの点灯・消灯のタイミングが分かりやすく表示されています。これによって無駄な点灯を止めて省エネを図っています。
また、店内のエリア別に空調の運転モード等を一元的に設定・確認できるリモコンを導入し、運用面の改善を図っています。
今回の一連の省エネシステム機器導入により、同店では、従業員に電力削減の自主的な取り組みが見られるなど、スタッフ間で自ずと省エネ意識が醸成されてきたといいます。また、同社は26店舗展開するが、今回の導入を契機に、電力削減・省エネに対する認識を全店で共有し、省エネを推進していきたいとしています。
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